トロント郊外でレトロな蒸気機関車旅はいかがでしょう?

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トロントから1時間ほど、メープルシロップの里としても有名なセント・ジェーコブスの街で、今年(2015年)も期間限定の観光列車が走っています。特に、上の写真の昔懐かしいカナダ製の蒸気機関車が牽引するツアーはプレミア。今回は、レトロな雰囲気を満喫できるプチ旅のご紹介です。

主役の蒸気機関車「NO.9」の由来

18世紀のイギリスで始まった鉄道。19世紀初頭になると、植民地カナダも優良な投資先として、イギリス資本によって大小様々な鉄道が建設されました。

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鉄道産業の発端は、1836年、東部カナダのモントリオール郊外。鉄道博物館からそう遠くないラ・プレーリの街には、今でも上のような記念碑が建っています。当時の最高時速40キロというゆっくりとしたスピードで、木製のレールの上に細い鉄板を貼ったレールの上を、スチーブンソン作のイギリス製小型蒸気機関車が走っていました。モントリオールで始まったカナダの鉄道は、政府の後押しと銀行の出資などを得て早い段階でトロントまでつながります。

その後カナダは、建国の際の国家的事業としてアメリカとの間に大陸横断鉄道を通して国境線を分かつ一方で、大小乱立する鉄道を買収・吸収しながら巨大貨物鉄道網「グランドトランク鉄道(以下GTR鉄道)」ができあがります。GTR鉄道は国境でアメリカの鉄道と接続し、北米南部の不凍港とカナダをつなぐ輸送の大動脈として、カナダの産業と貿易の発展に大きな役割を果たしました。

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一方幹線では人を運ぶ旅客運用も盛んに行われていました。特にイギリスのリバプール港とケベック/モントリオールは定期航路の汽船が結んでいて、さらに鉄道を使って何十万人というヨーロッパ移民が新天地を求めてカナダの内陸へと向かったのが19世紀から20世紀初頭にかけてのこと。時代の気分を伝えるポスターが残されています。

長い間セントローレンス海路を使った海運にのみ頼っていたカナダの物流は陸路でも発達し、19世紀にトロントでイギリスの戦略的拠点としての街づくりが始まると、カナダの商業の発展を支える東の重要な拠点として発展して行きます。

今も走る、往年の主力「NO.9」蒸気機関車

カナダの鉄道は当初、イギリスから技術と車両輸入に依存していましたが、国産の蒸気機関車の生産がモントリオール・ロコモーティブワークス(Montreal Locomotive Works/MLW)で始まります。最盛期には何千両もの蒸気機関車がカナダの大地を走っていましたが、1960年代を最後に効率の良いディーゼル式機関車などに入れ替えられ、その多くはスクラップにされてしまいました。したがって、現在走っているのは数少ない生き残り車両ということになります。

今回の旅の主役である蒸気機関車の正式名は「Essex Terminal Railway No 9」。先のGTR鉄道網のアメリカとの国境、東部カナダの南西端にあるウインザーという街の鉄道で、アメリカとの接続のための貨物車両入れ替えなどを専門に行うエセックス・ターミナル鉄道(以下ETL鉄道)で活躍していたものです。

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1923年国産MLW製の「No.9」は1997年、奇跡的に修復プログラムの一台として選ばれると、多くのボランティアの手により5万時間をかけて再び蒸気を吐いて力強く走る姿を見せてくれるまでになりました。

かつては貨車を牽引するのに大活躍した「No.9」。現在は、ウォータールー・セントラル鉄道で運行される夏期の観光列車に多くの家族連れを乗せて走る第二の人生を送っています。。

詳しい背景などについては、こちらに書いていますのでごらんください。
https://seetorontonow.jp/?p=1636

鉄道を愛するボランティアとローカルコミュニティーが支える観光列車

ウォータールー・セントラル鉄道は、日本で言うと「第三セクター鉄道」に似ているところがあり、小規模経営・地元密着のローカル観光鉄道。

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この鉄道に乗るのを楽しみにしているのは、ローカルの皆さん。ちいさなお子さん連れの家族が多く、おじいさん、おばあさんと一緒に乗り込むと、列車内では久しぶりに会った友人との挨拶が始まったりするところが、とても微笑ましいくもあります。

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この列車と最初に出会ったのは、2014年4月、年一度行われるメープルシロップ祭りに行く途中、交通渋滞をさけるため途中で車を置いてこの鉄道に乗った時のこと。整備庫からちょうど出てきた蒸気機関車の姿に出会った時には驚きました。

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力強い動輪。車軸は0-6-0。蒸気機関車のタイプとしては、アメリカのものになります。

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ペダルを踏むと、火室の扉が開きます。

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停車中の蒸気機関車の運転席も、場合によっては見学が可能。

カナダで蒸気機関車に乗る機会をつくるのは簡単なことではありませんが、期間限定であれトロントからわずか1時間ほどのところで体験できるのは貴重です。

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働いている人はボランティアも含め、かつてカナダ国有鉄道で働いていた人々がリタイア後、長年の経験と技術を生かしています。

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検札済みの切符。

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車両はすべて、かつて現役で大陸を走っていたものばかり。

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トロントはどんどん近代化し、年々便利になるのは嬉しいことですが、古き良き時代のカナダを感じることができるレトロな蒸気機関車の旅も、いいものです。

このウォータールー・セントラル鉄道の一番の見所である、「鉄道を愛する人たちによって支えられている風景」をぜひ体験していただきたいものです。

トロントからの場合、個人ではレンタカーで行く必要があります。セントジェイコブスのマーケット発着の列車は見所も多く、トロントからの行き帰りも含めたツアーができて、より敷居が低く楽しんでいただける日は近いのかもしれません。

蒸気機関車が走る日程

「No.9」は、9月7日(月)の祝日に行われる「Labour Day Steam Excursion」と、10月12日(月)の収穫感謝祭の祝日に行われる「Thanksgiving Monday Steam Excursion」の2回。列車はセント・ジェーコブスのマーケット駅を午後1時に出発し、エルマイラの駅までの往復を約2時間かけてゆっくり進みます。

途中写真を撮る機会もありますから、カメラを持ってぜひいらしてください。特に10月は紅葉風景を楽しめそうですね。

スケジュール、チケット購入は下記ウエブサイトをごらんください。
http://waterloocentralrailway.com/ride/special-events/