【トロントからの日帰り旅Vol.2】赤毛のアン作者モンゴメリーの軌跡を残すリースクデール村

トロントから北東へ車で1時間半ほどのところにあるリースクデール村は、わずか20軒ほどの家が集まる大平原の中の小さな集落。ここには、赤毛のアンの作者であるルーシー・モード・モンゴメリが結婚後、牧師として赴任した夫とともに移り住み15年を過ごした教会と家があります。
生まれ育ったプリンス・エドワード島を出て、ここでモンゴメリは、牧師の妻として働き地域に貢献しながら、2人の息子を育て、彼女の作品の大半を執筆しました。
モンゴメリは、このリースクデールの村の人と交流した様々な出来事や心の動きも、日誌に多く綴って残しています。
今回そのリースクデールに訪れてきました。

牧師の妻として15年を過ごした土地

このリースクデール村には今でも、モンゴメリの夫であるユーアン・マクドナルド牧師が勤めた教会と、モンゴメリが家族と共に暮らした牧師館である家の2ヶ所が、オンタリオ州ルーシー・モード・モンゴメリ協会により管理され保存されています。

モンゴメリの夫が牧師を勤めた教会 

教会内にはモンゴメリに関する資料や、年代別の写真が展示されていて、当時の様子を知ることができます。モンゴメリや赤毛のアンに関する日本の書籍もたくさん置かれていて、日本で長年愛されていることが紹介されています。
また、赤毛のアンやモンゴメリの世界を思わせるかわいいお土産や、関連書籍なども売られています。

ステンドグラスから差す光が美しい教会内には、いまでも当時モンゴメリがよく座っていた席が残されています。
集まった村の人たちの前でお話をする夫を、出口に近い後ろのこの席で息子たちともに、見守っていたと言われています。
また当時モンゴメリは若者や女性グループのリーダーとして、日曜学校で教えるなど様々な教会の活動を支えていました。

モンゴメリが座っていた教会の席

この教会の裏手にある美しい庭には、モンゴメリのブロンズ像があります。彼女が好きだった丘や森を見つめながら、まるで夢想しているような銅像の様子は、当時の姿を思わせる佇まいです。

銅像の手元には本とメガネ
焼き立てスコーンといちご水

この教会は、オンタリオ州ルーシー・モード・モンゴメリ協会のボランディアの人たちが運営していて、定期的に演劇やコンサートなども行われていたり、モンゴメリの暮らした時代やその背景を案内してくれます。
訪れた当日は、「赤毛のアン」に登場するお茶パーティーのいちご水と、できたての手作りスコーンでおもてなしをしてくださいました。

「アンの夢の家」を思わせる自宅の牧師館

道を渡った教会の斜め前には、彼女が夫と2人の息子たちと暮らした牧師館があります。彼女が遺した22作品のうち11作品はここで執筆されました。

1886年に建てられたこの建物は、現在は外観も内部もモンゴメリが住んでいた当時のまま再現されていて、カナダの国定史跡とオンタリオ州政府史跡に認定されています。

マクドナルド牧師とともに使った書斎も当時を再現


写真を撮るのが好きだったモンゴメリは、当時の家の周囲や内部も写真に多く残していました。百年の間に改装や改築がされた建物ですが、現在は家具や壁紙、床の色なども、当時モンゴメリが住んでいた状態にされています。

「赤毛のアン」シリーズに登場しモンゴメリのお気に入りだった、陶製の対の犬の置物も再現。

結婚後で初めて自分の家として過ごしたこの牧師館は「アンの夢の家」を思わせ、モンゴメリの好みの家具や調度品で飾られています。特にパーラーと呼ばれる応接間は、彼女が執筆のために過ごした部屋でもあり、訪れてくる村の人たちを迎える大事な場所でもありました。

縫い物をしながら子どもたちが帰ってくるのを窓から見ていたミシン場所

何もなかった時代、何もなかった片田舎であっても、モンゴメリらしい洗練されたこだわりをもって楽しんで生活していた様子が、どの部屋からでもうかがえる貴重な場所です。

オンタリオ州ルーシー・モード・モンゴメリ協会|リースクデール牧師館
Webサイト:http://lucymaudmontgomery.ca/
住所:11850 Durham Regional Rd 1, Leaskdale, ON L0C 1C0

「赤毛のアン」初版本が収蔵されるリリアン H. スミス図書館

トロントのダウンタウン、カレッジ・ストリート沿いにあるリリアン H. スミス図書館

リースクデールでモンゴメリに触れたら、ぜひトロントで訪れて欲しいのが、80,000冊以上の児童書が所蔵されているリリアン H. スミス図書館です。
こちらにはオズボーン・コレクションと呼ばれる国内外の貴重な児童書や関連資料が展示されています。

「赤毛のアン」を含む歴史ある児童書が展示

ここには、「赤毛のアン」初版本やモンゴメリのサイン本のほか、モンゴメリがファンに宛てた手紙なども所蔵されていて、モンゴメリ研究家として日本でも講演を行う梶原由佳さんが図書館司書として勤務されています。
本や資料とともに、梶原さんからモンゴメリのお話をおうかがいできる貴重な場所です。
梶原さんが勤務されていない日時もありますので、行かれる際はぜひ事前に図書館へ問い合わせを。

リリアン H. スミス図書館
Webサイト:https://www.torontopubliclibrary.ca/lillianhsmith/
場所:239 College Street, Toronto, ON  M5T 1R5


プリンス・エドワード島を出てオンタリオ州で過ごしたモンゴメリの軌跡が、こうしたトロントとその周辺にはいくつも残されています。
子育てをしながら夫を支え、地域に貢献しながらも、多くの名作を執筆して世界文学に名を残したモンゴメリは、現代を生きる女性にとっても力強いメッセージとインスピレーションを与えてくれます。
ぜひトロントで、そうしたモンゴメリの人生に触れてみてくださいね。

(写真と記事:Mami)